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リレーss置き場

共同ssをかくブログです。

Aqoursのローカル路線バス乗り継ぎの旅 Guilty Kiss編 Part2

Aqoursのローカル路線バス乗り継ぎの旅 Guilty Kiss編 Part2

バス車内


梨子「ううん……」

梨子(なんだろ……なんだか顔の辺りがくすぐったいような……)

鞠莉「あら、起きちゃった?」

梨子「鞠莉さん……?」

鞠莉「ぐっすり寝ちゃってて可愛かったわよ♪」

梨子「そういう鞠莉さんの方が先に寝たんじゃない……」

梨子(にしてもこの違和感……はっ、もしや!?)

梨子「鞠莉さん!」

鞠莉「な、なに!?急にシャウトしたらビックリしちゃうわ」

梨子「まさか、私の顔に落書きしてないよね……?」

鞠莉「ら、落書き?い、いやー、どうかしら、ネ」ソワソワ

梨子「あからさまに怪しい……まさか本当に!?」

善子「忘れたのかしらリリー?」

梨子「よ、善子ちゃんまで?」

善子「私たちはGuilty Kissなのよ。そう、“Guilty”。すなわちそれはリトルデーモンたちにとっての一つの儀」

鞠莉「そういうこと♪」

梨子「なるほど……話はよーく分かったわ」ゴゴゴゴゴ

鞠莉「いやん♪リリーが怖いぃ~」

梨子「だったらこっちは……」

善子「なっ、落ち着きなさいリリー!」

梨子「キスの方で対抗よおおおおおおおおおお」チュッ♡

鞠莉「!?///」

善子「あ、あの……」

鞠莉「奪われちゃった……マリーのハジメテ……///」

梨子「さあ、善子ちもよ。その艶やかでキュートな唇を差し出しなさい!!!」

善子「やめて!冗談、さっきのは冗談だから!ほら!」

梨子「な!?」

善子「このスマホに映っているのがあなたの今の姿よ」

梨子「なーんだ、落書きなんてしてないじゃない」

鞠莉「当たり前よ///落書きに使えるようなマーカーペンなんて持ち歩いてないもの……///」

梨子「ということは……私のただの勘違いだったってこと!?」

鞠莉「酷いわリリー、勘違いで私のファーストキスを奪うなんて……///」

梨子「ごめんなさいごめんなさい!」

善子「勘違いじゃなくてもキスはダメでしょ」

梨子「そ、そうだよね……私、どうかしてた……」ズーン

鞠莉「でも、そんなにイヤじゃ無かった……カモ///」

 ―・―・―・―・―・―

鞠莉「っていう夢を見たわ♪」

梨子「やっと目を覚ましたと思ったら何バカなこと言ってるのよ……。もう終点着くわよ」

元箱根港 AM 9:33 → 小田原駅東口 AM10:45 箱根登山バス


梨子「次のバスは……あ、ちょうど来たわ」

鞠莉「これに乗ればいいのね?やっぱり梨子がいると頼もしいわね♪」

梨子「そうやって何でもかんでも人任せにしないで欲しいんだけど……」

AM10:48 小田原駅東口


鞠莉「ここまでは順調ね~」

善子「なんか疲れてきたんだけど」

梨子「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ」

善子「ふん。所詮は人間界の移動手段。この羽で空をひとっ飛びする我々堕天使から見ればあまりに遅く、止まっているも同然」

梨子「なら善子ちゃんだけ別行動にしようか?」ニッコリ

善子「ななななんでよ!?」

梨子「だって羽があるんでしょう?バスに乗る必要なんてないんでしよう?」

善子「うっ……それは……そう、なんだけど……」

梨子「だけど?」

善子「うぬぬ……あっ、そうよ!!良いかしらリリー。確かに、ヨハネの羽を使えば人間界の移動手段など使わなくても移動は可能。ただし、堕天使の羽はただの羽とは違うわ。幾星霜の時を超え、恐ろしい規模の呪いを纏った堕天使の羽。一たび広げただけでも地上に一国を消滅させるほどの災厄が降り注いでしまうのよ!」ドヤッ

梨子「ヘー、ソレハタイヘンダネー」

善子「なんで棒読みなのよ!!!」

梨子「いいから早く次のバスを探しましょ?」

善子「もー、もう少し相手にしてよ!!」

鞠莉「ふふっ、梨子も善子の扱い方をだいぶ分かって来たみたいね♪」

 ―・―・―・―・―・―

梨子「東海道沿いに進むとすると……この国府津行きってやつがちょうど良さそう。どうかな?」

鞠莉「ルートに関しては梨子に任せるわ♪」

梨子「そんなノリノリで責任放棄発言されても……」

善子「実際梨子に任せるのが一番確実じゃない?それとも、我が愛しきリトルデーモンたちに助けを求めてみる?」スマホスチャ

梨子「ネットはだめー!!!」

鞠莉「そういうわけだから、あとはよろしく♪」

梨子「ええ……」

梨子(しょうがない。私がしっかりするしか……)

シルクハットを被った男性「お困りかな?」

善子「なっ……貴様は!?」

善子「はっ!?もしや……」

善子「もしや……」

善子「……ごめんなさい何も思いつきませんでした」

梨子「ええ……」

鞠莉「ちょっど良かった、ちょっと聞いても良いかしら?」

シルクハットを被った男性「ふむ、なんでも聞くがいい」

鞠莉「私たち霞ヶ浦まで行きたいのよ。それも路線バスだけで。というわけで、こっからどうしたら良いかしら?」

シルクハットを被った男性「なるほど、それなら全てを解決する鍵を授けよう」

梨子「すべてを?いったいどういう……」

シルクハットを被った男性「平塚行きに乗りなさい。ここから出ている」

梨子「それは私も考えました。でも……さっき時刻表を見たら」

[平45] 平塚駅北口
平日……なし
土曜……なし
日曜……8:05

>>>Q.E.D.<<<

梨子「って感じでもう終わってて……」

シルクハットを被った男性「甘い!!そう、それは例えば、ビニール手袋に詰めた氷砂糖の酢漬けより甘い!」

梨子「いや意味分からないから」

シルクハットを被った男性「心の目で見なさい。さすれば、目の前に平塚行きが」

梨子「もう良いですありがとうございました」

シルクハットを被った男性「最後にもう一つ」

梨子「いや本当にもう良いですから」

鞠莉「待って。もしかしたらこの人だって百年に一度くらいはまともなことを言うかも知れないわ」

梨子「その一度が今でないことは確かだと思うけど」

シルクハットを被った男性「良いかい?――困ったときは『神奈中』に乗りなさい」

梨子「あれ?まとも……」

鞠莉「なのかしら……?」

小田原駅東口 AM11:00 → 国府津駅 AM11:23 箱根登山バス


梨子「はぁ、なんかどっと疲れた」

善子「ヨハネの魔力を少し分けてあげましょうか?」

梨子「そんなことしたらもう二度と起き上がれなくなりそう……」

AM11:25 国府津駅


善子「そろそろ魔力の補給が必要な頃合いね」

鞠莉「そうね。そろそろお昼にしましょ?」

梨子「それも良いけど、その前に次のバス探さなきゃ」

鞠莉「梨子ったらマジメねー」

梨子「二人が不真面目すぎるのよ!」

鞠莉「まあ梨子の言うことも一理ないこともないわ。先にバス探しましょ」

梨子「なにその含みのある言い方……」

善子「お腹空いたぁ……」

梨子「あのシルクハットのおじさんじゃないけど、平塚の方に向かうのは間違ってないと思う。問題はバスがあるかだけど……」

鞠莉「直接行くのは無さそうじゃない?」

梨子「そうね。ここの隣、二宮の駅まで行けるものすら無いみたい」

善子「お腹空いたぁ……」

鞠莉「誰かに聞いてみる?」

梨子「そうしよっか……。あっ、そういえば、朝三島で会った人が」

『困ったときは『コミュニティバス』を探してみようね。検討を祈ってるよ』

梨子「って言ってたような」

鞠莉「コミュニティバスね。あるのかしら?」

善子「お腹空いたぁ!」

梨子「駅員さんに聞いてみようか。すみませーん」

国府津駅駅員「はい、なんでしょう?」

梨子「この駅からコミュニティバスって出てますか?」

駅員「コミュニティバス?市が運行してる循環バスみたいなやつだよね?そういうのはここからは出てませんね」

梨子「そうですか……」

梨子「でしたら、バスで平塚の方に出るにはどうすれば良いか分かりますか?」

駅員「平塚までバス、だと!?」クワッ

梨子「えっ!?急にどうしたんですか……!?」

駅員「もちろん把握している。当駅から近隣駅までの行き方すら知らないでジェイ〇ールの社員は務まらんよ!!!」

梨子「えっ、えっ……!?」

鞠莉「どうしてこんな熱くなってるのかしら……」

善子「お腹空いた……」

駅員「例えば弊社の列車が何かしらの事情で遅れた時。我々は代替の交通手段をお客様にご案内する義務がある!!」

梨子「は、はい……」

駅員「この辺りのバスを把握せずに駅員を名乗ろうなど片腹痛さの極み!!!許せん!!!」

梨子「ええ……」

鞠莉「早く終わらせてほしいんだけど」

善子「もうお腹と背中がくっつく!!」

駅員「しかぁし!今!弊社の列車は一分の狂いもなく定時で運行している!ならばジェイ〇ールの忠実な僕として尽くす私の使命は一つ!一人でも多くの方に弊社の鉄道を利用してもらうこと!!!」

梨子「まさか……」

駅員「そうだ!大人しく東海道本線平塚駅までのきっぷを買え!!!さあ!!!」

梨子「そういうわけにはいかないんです!私たちはバスで移動しなきゃいけないルールになってて……」

駅員「だから私に平塚までバスで行く方法を教えろと?そうはいかないなぁ!!貴様らには貴様らの事情があるように、私には私の事情がある!列車が定時で運行している今、教えろと言われて『はいそうですか』と頷く訳にはいかんのだよ!!!」

鞠莉「お客様に向かって貴様とか言っていいの?」

駅員「ふっ、バカバカしいな。実に片腹痛い。きっぷも買っていない貴様らなどお客様であるはずがないだろう!!!」

善子「もう!なんでもいいから何か食べさせて!」

梨子「駅員さん」

駅員「ほう……ついにきっぷを買う気になったか」

梨子「そうじゃなくて……ええと、逆に言えば、もし列車が遅れたら私たちにバスのルートを教えてくれるってことですか」

駅員「当然だ」

梨子「やるしかないか……」

鞠莉「ちょっと待って。犯罪は禁止よ梨子」

梨子「あは、あはは……分かってるってそんなこと言われなくても」

鞠莉「目が泳いでるんだけど……この子何しようとしたの?」

善子「もう耐えられない!お腹!空いた!」

鞠莉「善子も限界か……。よし!それじゃあ駅員さん」

駅員「ん?今度こそきっぷを買う気になったか?」

鞠莉「ええそうよ」

梨子「ダメよ鞠莉さん!そんなことしたら失格よ!」

鞠莉「まあまあ聞いて。駅員さん、賭けをしましょ?」

駅員「ほう……何のつもりだ……?」

鞠莉「今から私たちはお昼ご飯を食べに行くの。所要時間は最長で一時間ってとこね。食事が終わったら私たちはもう一度ここに戻ってくるわ。その時点でもし列車が平常通り運転していたら私たちは素直に列車に乗る。でももし列車が遅れていたら」

駅員「私が平塚駅までバスで振り替えるルートをご案内する、ということか」

鞠莉「そういうこと♪」

駅員「実に面白い。今の時刻が11時37分。もし60分後にダイヤが乱れていたら、約束通り平塚までバスで行く方法をご案内しよう。しかぁし!その時間も列車が定時で運行していた暁には列車で移動してもらう!」

鞠莉「交渉成立ね♪そういうわけで、平塚までのきっぷ、3枚ちょうだい」

駅員「240円×3、720円だ」

鞠莉「はいは~い♪」

 ―・―・―・―・―・―

梨子「お昼ごはんが食べ終わってからもう二十分……あと十分で一時間経っちゃうよぉ」

善子「もー、どうしてこんな賭けしちゃったのよ。他の人に聞けば済むことだったじゃない」

鞠莉「だってー、その方がとってもExcitingじゃない!」

善子「マリー!!!リリーもなんで止めなかったのよ」

梨子「私の力じゃどうしようもなかったの。善子ちゃんも一緒に止めてくれれば……」

善子「あの時はお腹が減ってそれどころじゃなかったの!」

梨子「さっきからずっとアプリで運行情報見てるけど……」

鞠莉「音沙汰無しね☆」

善子「なんでそんなに楽しそうなの?もうあれよ。バックレるしかないわ。平塚までの行き方なんてあの駅員に聞かなくたって分かると思うし」

鞠莉「ダメよそんなの!結果がどうあれ私たちは再びあの駅員さんの前に姿を現すと約束したの。約束を破るなんて女が廃るわ!」

梨子「でもそれじゃあ失格に」

鞠莉「大丈夫よ☆勝利の女神は必ず私たちに味方するわ!」

PM 0:32 国府津駅


梨子「どうしよう……このままじゃ失格になっちゃう」

善子「平常運転……この文字がこんなに恨めしかったことは無いわ」

鞠莉「まだよ!まだ約束の時間まではあと5分ある!」

梨子「どうか……お願い!」

 …………
 ……
 …

梨子「あと……3分」

善子「ダメね……列車は遅れていない」

 …………
 ……
 …

梨子「あと……2分」

善子「終わった……終わったわ……」

鞠莉「諦めちゃダメよ。まだ時間はある」

梨子「いや……」

 …………
 ……
 …

梨子「あと……1分よ」

鞠莉「善子、運行状況は?」

善子「ダメ。平常運転よ」

鞠莉「ゲームセットね。行きましょ?」

梨子「えっ?でもまだあと一分あるけど」

鞠莉「いいえ。潔く降参した方が良いわ」

梨子「そんなぁ……」ヨヨヨ

 ―・―・―・―・―・―

鞠莉「駅員さん……残念ながら、私たちの負けみたいね」

駅員「まさしく!列車はそれはそれは正確な時刻で運転している!……しかし殊勝なことだな。この勝負、確かに君たちの勝算は低かった。だが、ある意味君たちには大きなアドバンテージがあったのだよ。そう!君たちはいつでもバックレることが出来た。なのになぜそうしなかった?」

鞠莉「そんな卑怯な真似は出来ないわ」

駅員「ほう、最近の若者も捨てたものじゃないな。君たちの心意気は気に入ったよ」

鞠莉「だったらバスのルートを教えてくれる?」

駅員「断る!!!」

鞠莉「でしょうね……。梨子、善子、行くわよ」

梨子・善子「……」

駅員「行ってらっしゃいませ、お客様」ドヤァ

 ―・―・―・―・―・―

駅員「お待たせいたしましたぁ!12時37分発上野東京ライン宇都宮線直通、快速宇都宮行き発車でーす!ご乗車のお客様は車内でお待ちくださぁい!」

梨子「乗らないの?」

鞠莉「私に考えがあるわ。二人はそこにいて?」

駅員「7号車付近ホーム上のお客様?乗り遅れますよぉ?」ドヤアァァァァ

善子「ちょっと!?私たち名指しされてるんだけど!?」

鞠莉「構わなくていいわ」

駅員「ドアが閉まりまあああああす!」

鞠莉「じゃっ、行ってくるね!」

梨子「鞠莉!どういうつもり!?」

善子「まさか!?」

ドア「プシュー」

鞠莉「きゃあ!?」

駅員「なっ!?荷物をドアに挟めただと!?卑怯な……」

ドア再開閉

鞠莉「ちょっ、あああっ」

駅員「まずい、戸袋に荷物が引き込まれる!一回ドア閉めて!」

ドア閉→開

鞠莉「これくらい時間を稼げば、十分かな?」

梨子「現在の時刻は……12時38分!列車はまだ発車していない、ということは……」

善子「一分遅れよ!」

鞠莉「さあ、教えてもらいに行きましょ?バスのルート」

駅員「なんて卑劣な……さっき見直したのが間違いだった。やはり最近の若い者は碌なもんじゃない!」

鞠莉「まあまあ落ち着いて?こう見えて私たちも必死なのよ」

駅員「だが残念だったなぁ!この程度の遅れでは振替輸送は発生しない。私がお客様にバスでの行き方をご案内する義務など生じないのだ。小細工を弄したところで無駄だ。君たちは最初から負けていたのだよ!」ドヤアァァァァァァァ

鞠莉「あら?私たちは何も振替輸送の案内をして欲しいなんて言ってないわよ。列車が遅れたら、バスで平塚まで行く方法を教えてもらう約束をしただけ」ニヤリ

駅員「同じことだろう!」

鞠莉「いいえ、あなたは列車が遅れたらバスのルートを教えてくれるとは言ったけれど、列車が『何分』遅れたら、とは一言も言わなかったわ」

駅員「なんだと!そんな……私のしたことが……そうか……私はてっきりバスで振り替え輸送を行うつもりで話をしていた。ところが君たちの話術はその一歩先を行っていたんだな。巧妙に話をすり替えられていたわけだ。完敗だ!」

鞠莉「というわけだから、お願いね☆」

駅員「ああ。今紙に書いて持ってくるよ。いやー、一杯食わされた……」

梨子「はぁ。平塚までの行き方が知りたいだけだったのに、どうしてこうなったんだろ……」

善子「鞠莉さんの暴走には気を付けなきゃね」

国府津駅 PM 1:17 → 押切 PM 1:24 神奈川中央交通


梨子「はぁ、一日バスに乗ってるだけなのになんでこんなに疲れるのかなぁ」

鞠莉「だらしないわね~。私なんてまだまだメチャクチャ元気よ!」

善子「そりゃあんたが元凶だし」

梨子「ともあれ平塚までの行き方は分かったわ。まずは比奈窪行きか橘団地行きで押切のバス停まで行く。これは誰かに聞かないと気づかないよね……。で、そこから二宮駅南口行きのバスで終点まで行けば平塚駅北口までに乗り継げるわけね」

善子「そういえば千歌さん達は今頃どの辺りにいるのかしら。私たちと大体同じようなところを通るはずだけど」

梨子「私たちが足踏みしてる間に抜かされてるかもね」

鞠莉「どうかしらね♪案外寄り道ばっかしてて、ようやく小田原の辺りだったりして☆」

善子「ありそうね……」

梨子「健闘を祈るわ……」
Written by tamantrain.
Part3に続く
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